「自然を観る方法としては、季節、場所(山・川・海など)、種類(鳥、花・虫・・・)があり、 長沢(音羽町)は、里がいい。手入れが行届いて、昔懐かしい花を観ることができるでしょう。次回26日は、春の名残が見れるのではないかと思います」
「今ごろは金沢の山桜が見頃で、その“桜守り”をされている加藤氏が、次回の講師です」
と、三河生物同好会の伊藤昭博さんから、挨拶と講座のながれの説明がありました。
続いて、今日の講師の中西正さんの紹介で現在豊橋市南高校の教師です。

第1回 植物の不思議
(2003.4.16)

講師:中西 正氏
何のために花は咲くの?

花とか茎は自分のための存在(栄養器官)、種は自分の仲間を増やすための存在(生殖器官)で、 花は種を作るためのものでもあります。

【種のしくみ】

胚乳種子・・・柿の種とか栗・ドングリのように、種皮で包まれたもの。

     
          無胚乳種子・・・ピーナッツ・豆など。

種そのものは休眠状態で、環境の変化に強いが、散布されないと増えない。 そのための方法として、風・水・主・鳥などに運んでもらう。

大きな種・小さな種

一番大きな種は椰子。大きな種は数が少ないけれど、栄養が豊富である。
椰子の実が回ってきました。伊良湖ではなく新潟に流れ着いたものだそうで、皮の部分が乾燥して、繊維状になっていました。
小さな種は栄養が少ないので、他の生物の力を借りるんだそうです。

種の数・・・
タンポポ    158個
アケビ     66〜200ケで平均152個
蒲の穂     1個の重さが、0.00007g/平均で、40万個の種!

乾燥した蒲の穂が回ってきました。タンポポの綿毛よりももっと小さな羽根をつけた点のような種子ですが、ビニール袋の中をそっと覗くと、 ふわーと、綿毛が舞うんです。呼吸をすると吸い込みそうで、あわてて次の方にまわしました。 それにしてもすごい数ですね。ちゃんと数えたんですってよ。時には授業で、しかも誠実そうな子に頼んだそうです。 資料にはいろんな植物のデーターが載っていて、興味深いものでした。

根っこの違い

植物は根が先に出ます。根の廻りにヒゲのような細かい根(根毛)が出て栄養分を吸収するものと、栄養を吸収するための根が無く、 菌と共生して栄養をとっているものもあります。たとえば・・・
と、くの字に曲った緑色の軸みたいなのが、中西先生の手から、手品のように出てきました。

「これ何の根っこか分りますか?」
「知らなーい」
「そうです、紫欄(しらん)です。よく分りましたね」(ハハ、なんか漫才のネタになりそう)

ブナの木は数10メートルまで成長しますが、最近になって自分の根っこだけでは栄養が取れないのではないかということが言われています。 つまり菌のようなものと共生している可能性が高いということです。

種ができる

花粉はひとつの細胞。雌しべに花粉がつくと発芽して伸びていく。雌しべの元のほうに胚珠があり、精核と胚珠が受精して種の元ができるのです。
山百合の種が入ってた殻が回ってきました。花びらは散ってしまうのに、不思議と百合の形をしているんですね。中を覗くと種はもうありませんでした。

ネジリバナ(螺子花) モジズリとも
【左巻と右巻の定義】                .

 団地の庭で撮ったもの     

螺旋(らせん)状にねじれているからネジリナバ(またはネジバナ)というが、中にはねじれていないものもあります。また左巻、右巻の方向性があるかと調べたが、ほぼ同じ数でした。螺旋の数は1回から6回。 小さな花だが、よーく見ると欄の形をしている。沖縄以外、ほぼ日本全土に自生すし、葉に斑入りもある。そうです

ネジリバナは私も大好きで、鳥たちが種を運んでくれたのか、数年前から自宅前の植込みに群生するようになりました。 花の咲く頃、組の草取りが近づくと、“草取りおじさん”に根こそぎ刈られやしないかと、いてもたってもいられません。きっとこれが欄だったら、粗末に扱われることがないでしょうにね。

さて、第一回目の講座はこんな形で、楽しいお話と、次から次へと出てくる種やら根っこを手に取りながら、楽しく進められました。 あたり前に存在している生物を、改めて見つめることに、俄然興味を見い出したのは、どうやら私だけではなさそうです。 参加者の多くは熟年からシルバー世代ですが、みーんな活き活きしていましたよ。

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