退職してから、いろんなことが縁遠くなってしまったけど、思いがけず、I さんの訃報を友人から聞いた。
I さんとはインテリアコーディネーターの一回目の更新時に出会って、資格取得が同期なのと同じ街だということで話をするようになった。
販売のキャリアは積んでいたけど、将来的に通用する資格をと一念発起してコーディネーターへの道を歩み、出会ったときは、二級建築士にトライしていた。
入口はインテリアコーディネーターでも、建築士を目指しトライする人は少なからず居て、実は私もその一人で、訃報を知らせてくれた友人と出会ったのも、二級建築士の受験準備が縁だった。
その同じ時期に、I さんは一級建築士にトライして合格していた。
将来へのビジョンを持ち、それに向けて努力もし、建築士としての仕事を積んで、職場において、なくてはならない存在となっていた。
3歳年下のI さんとは、なにかのとき、私のように離婚しても子がいるのと、独身の一人とでは、将来に対しての備えが違うというような、女一人暮らしの「覚悟」を話したことがあった。
さっぱりした気性で、仕事に対する姿勢も、学ぶことが多かった。
陶芸に手を染めてると知って、友人達の手作り作品展に出展してもらったことがあり、そのお礼にと言って器をいただいた。
彼女の性格そのままの、端正な器だった。
二匹の雄猫と同居の話を聞いてたことが、我が家の猫暮らしのきっかけにもなっていたし、雄猫はマーキングする前に手術すべしとの訓示もいただいた。
お互い、連絡するほどの間柄ではないものの、I さんの職場はカーテン部門でお世話になっていた会社でもあったので、出向いた時に居れば、近況を交わした。
営業担当のT さんに、定年退職の報告と挨拶に行った折、彼女と話したのが最後だった。
T さんの話では、いずれ彼女も仕事から解放されたら、趣味の陶芸に打ち込み、旅を楽しむ暮らしに思いを馳せていたようだった。
体の変調を感じて病院を巡ぐり、入院して5日後に亡くなったという。
あまりにも突然のことで、言葉が無い。