ハナが餌を食べなくなって1週間余りが経ち、昨日から、時折鳴いたり、寝返りをうったりしても、水に溶かしたチュールを受け付けなくなり、口が開かなくなった。
ずーっと無かった排便を、夕方にビー玉くらいのが一つだけ排泄した後は、ぐったりしてしまった。
昨夜は、「今夜が峠かもしれない」と思い、大きな段ボールに電気式毛布や起毛した肌障りのいい毛布を敷き、その中にハナの寝床から移して、私の傍らに置いた。
いつもは午後9時ごろには床に就くのだけれど、PCに向かいつつ、ハナを見守った。
午前2時ごろから1時間ほど寝て、3時過ぎにチャイやミミに起こされ、餌をあげてから、ハナの様子を確認。
か細い声で時々鳴いたり、体の位置を変えたりするが、横たわる姿に、息をしてないのではと確認すること度々。
シリンジでほんの少し水を飲ませたけど、口が開かないので、潤すだけに。
11時ごろだった。
「ハナ」と呼びかけながら、頭を擦ろうとすると、シャーというような仕草に続いて小さな痙攣をして旅立ってしまった。
実際はもう、硬直が始まっていたのだろう、体がこわばったように硬かくなり始めていた。
今年の初夏に20歳を迎えたのだから、歴代の猫の中で一番の長生きだった。
もっとも、ミミは今19歳だから、ハナを超えるかもしれないが・・・
母が他界した2004年11月末、雨上がりの朝に仕事で現場へ向かう途中の、両側が畑の道路で、先を走る車が避けるように走っていくので、道路に横たわっていた子猫はひかれたのだと思ったら、農作業小屋の傍の植え込みに逃げ込んだ。
車を降りて保護したのがハナだった。
車にあった段ボール箱に入れて、現場の帰りに、仕事がらみの動物病院へ預けた。
小さいので2.3ケ月と思いや、歯の状態から6ケ月だと。
その日の2日後に、2泊3日の家族旅行だったので、そのまま動物病院に面倒を見てもらい、帰ってから引き取った。
野良生活が長かったから、人間には警戒するけど、成猫には甘えたくて寄っていく。
成猫の方は避けるけど、2週間もすれば、同じ三毛猫のロンが、抱え込むようにして面倒を見てくれた。
母親代わりのロンが旅立った後が、大変だった。
他の猫たちと相性が悪かったし、甘え下手で、ひたすら大きな声で鳴くことで自己表現をしていた。
こと4年前からは、認知症かと疑うほどに、昼夜かまわず遠吠えのような大きな声で鳴くので、私の方がノイローゼになりそうだった。
それでも、安心して引き籠れるように、ハナ用の寝床を作ったり、秋から春までは、電気座布団で暖かくし、夏場は小さな扇風機で温度調整をして、居心地のいい環境を整えるのが、私の日課だった。
9月下旬ごろからオムツをするようになって、しれからは大きな声で鳴くことが少なくなり、ハナだけ朝晩の餌をチュールにしてからは、介護も落ち着いてきたけど、そのチュールを口にしなったのが、先週の月曜からで、食べないから排便もしなくなって、あまり長くはないのを感じ取っていたが、思たよりも早く旅立ってしまった。
これまでの猫たちの旅立ちのように、不思議と涙が溢れることはなかったけど、息子にLINEで旅立ったことを伝えたとき、返ってきたメッセージに涙が溢れでた。
猫たちへの情が、私なんかよりもずーっと深いのを、あらためて知らされた。
見送る準備をして、お昼過ぎに斎場へ向かった。