ともなが あ希 カーヤとミュウのおばあちゃんの病気が、おもわしくありません。 夜ふとんに入ると、決まってコホン、コホンとおばあちゃんのかわいた咳が始まるので す。しばらくするとその咳は、コン、コン、コン、コンに変わります。 カーヤと弟のミュウにとって、おばあちゃんのコホン、コホンは、やさしい子守歌になっ てしまいました。 でも、コホン、コホン、コン、コンが長く続くので、おじいちゃんや、お父さんお母さんは、 交代でおばあちゃんの背中をさすったり、汗をふいたり、熱いタオルで胸を湿布したり と、咳が静まるまで大変なのです。 お父さんたちの間では、おばあちゃんの苦しさを何とかしてあげたい、という思いが 日に日に強くなっていきました。 おばあちゃんが元気なころ、みんなで何度となく遊びに出かけた小さな森。 木々の緑が降り注ぎ、空気がしっとり湿っていて、おばあちゃんの病気にはとっても 良さそうな、その小さな森。 そこに住めたら、どんなにいいでしょう。 ある日お父さんが、その森に、すてきな家を 見つけてきたのです。 さっそく、カーヤの家族はそこへ引越ししました。 引越し荷物の片づけは、とても大変です。 「ベランダのゆりイスに腰かけて、休んでいて下さいな」 おかあさんが声をかけるのですが、おばあちゃんは 少しでも手伝いたくて、部屋の中を行ったり来たり いっぱい働きました。 でもその晩、おばあちゃんはほんの少しコホン、コホ ンしただけで、ぐっすり休んだのです。 お父さんたちは、この森の家へ引っ越してきたことを、 喜び合いました。 「キョロロロ ロ ロ ・・・、キョロロロ ロ ロ ・・・」 |