おくすりは なあに P6 「ええ、約束するわ」 「よし。それが本当なら、急いだ急いだ!」 アメンボウのボーチャが、タートル親子を水上バイクで引っ張り、みんなは「あっ!」と いう間に岸にたどり着きました。 「きっとまた遊びにいらっしゃい。気をつけてね」 タートル親子と、ボーチャに見送られ、カーヤとミュウは先を急ぎました。 前を行くアーカンさんについて、どこをどう歩いたのか。カーヤとミュウは、ひょっこり 森の入り口に出ました。 ここからくすり屋さんは、目と鼻の先にあります。 「アーカンさん、ありがとう」 カーヤが振り向くと、アーカンさんの姿は無く 「キョロロロロロ・・・」 と、遠ざかって行くアーカンさんの声が、森の中から聞こえてきました。 家では、おじいちゃんが、ふたりを待ちに待っていました。 「カーヤ、ミュウ早かったね。ありがとう。疲れたろう?」 「うんん、ちっとも。おくすり、すぐおばあちゃんにあげて」 「おお、そうしよう」 お父さんとお母さんが帰って来たとき、おばあちゃんはすっかり元気になっていて、 自慢のクッキーを焼いているところでした。 カーヤたちのお使いのことは、おじいちゃんからお母さんたちに、報告されました。 焼きあがったクッキーをいただきながら、お母さんはたずねます。 「それでおばあちゃん、お咳はもういいんですか?」 「それが、ふしぎなのよ。いつものおくすりを、シュッと吹きかけただけなのに、ほーら。 のども軽くなって。カーヤとミュウのおかげよ。」 でも、お母さんたちは知っていました。 この森の、しっとりと澄んだ空気。その天然のおくすりのことを、ね。 カーヤとミュウは、アーカンさんやタートル親子さん、ボーチャに、また会いに行こう ねと、二人だけにわかる合図をし合いました。 おばあちゃん自慢の、このおいしい焼きたてクッキーをおみやげに。 |
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