猫と暮らすようになると、なぜか「猫もの」が目に止まるものですね。

『猫暮らし』 La Vita Segrete dei Gatti
ジョルジョ・チェッリ著/泉典子:訳/飯窪利彦:写真/文藝春秋 1400円(税込)     

モノクロの写真とブルーのタイトルが、洋書の雰囲気を漂わせている本です。動物学者でもある著者が語る猫たちへの 眼差しは、とっても暖かくて優しくユーモアたっぷり。猫好きならずとも、飼ってみようかなという気になってしまうのではないしょうか。
猫の暮らしを追った飯窪利彦氏の写真も、行間を飾って目を楽しませてくれましたし、番洋樹氏のカバーデザインもステキです。 そして何より泉典子さんの翻訳がいいのです。「猫や犬が好き」で、著者にも劣らぬ優しい眼で周囲の猫を見つめているのですから頷けます。

 
『運のいい猫わるい猫』    新美敬子著/大和出版/1300円(税込)   
『猫のアジア』          新美敬子著/河出書房新社/1600円(税別)

「取りつかれたように“猫と出会う旅”を続けてしまっている」という、新美敬子さんは豊橋の出身。 「人と人との間や、人の心の中で“クッション”としての役目を担っている猫たち」との出会いを綴った、旅のエッセイです。 カルボナーラの好きな!、ギリシャはイドラ島の猫の話に、私も会いに行きたくなりました。   

『GEO』No.3・No.10                 同朋舎出版/各980円(税別)  

残念なことに廃刊となってしまった、写真の美しい本です。猫の生態に迫るシリーズでは、“狭いことのたとえに「猫の額」という言葉があるが、実は猫には額がない” “猫は実は寂しがり屋。その証拠に毎日「集会」呼ばれる行動をとる”“長時間睡眠に生命を託す猫は、一日14時間寝ている”など、古川タク氏のユーモラスなイラスト と一緒に記されています。
もう一冊の「猫好きに捧げる猫学事典」は、著名人と猫の話など、76のテーマで綴られています。

『太陽』1997.5                    平凡社/1000円(税込)   

「猫と作家の物語」のタイトルどおり、猫好きな作家たちの話で、村松友視氏のアブサンは21年!も共にしたというのですから、金さん銀さん並の 長寿命です。大佛次郎氏が生涯に飼った猫は、五百匹以上にものぼるといい、「来世は猫だ」と本気で信じ「もしも来世があるのならやっぱり猫と暮らしたい」とも。 小説の中にも、ふんだんに猫が出て来るそうで、こちらもゆっくり読みたくなりました。

『ねこ古典ぱん』         雨田光弘:絵/あ・り・す/2430円(税込)

チェリストであり画家でもある雨田光弘さんの、墨絵の絵本。古今和歌集や徒然草、芭蕉・一茶・良寛等の 俳句に、英訳と意味・作者の紹介が添えられ、そのイメージをソロ・デュエット・トリオ・カルテット・オーケストラで、 猫たちの音楽師が奏でます。
絵本を眺めていたら聴いてみたくなりました。雨田光弘さんのチェロ、そして猫楽師の音楽!


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