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なぜか「小屋」と名のつく建物に魅了されると言う好文さんは、樹上生活に憧れた少年時代を経て、大人になってから、樹上の家『アイリス・ハット』を学生と一緒に実現したそうです。
詩人・立原道造の小住宅『風信子(ヒアシンス)』、ル・コルビジェの休暇小屋、以前このコーナーでも紹介したことのある、吉村順三の『森の中の家』など例にあげながら、
ワンルーム住宅の小屋的な気配を感じるのだとか。
私は自社の住宅を紹介するときなど、つい“広い空間が〜”というコピーを多用しますが、生れてこのかた広いところで暮した経験がないこともあってか、
本音は狭い方が安らぐのです。天井も出来れば低めで間仕切の無い、必要にして最小限のワンルームが、“ものぐさ”にとっては性に合ってると。
ですから、好文さんの本を読んで、“我が意を得たり”と手を打ち、「なんと価値観の似てることか」と勝手に近づいてニンマリ。
“団塊世代 丑年”を自称してきた私ですが、節分より6日早い生まれだから、実はネズミ年。
好文さんと同じなら悪くもありません。なぜ丑に拘るかって?アハ、たいした理由ではありませんのよ。(^^ゞ
“無駄のないシンプルな建物に虚飾のない自然体の暮し。身の丈にあった普段着の住宅を丁寧に作ち続けていきたい”
という言葉が、そのまま形になったようなMITANI HOUSE (工芸家・三谷龍二さんの家)は、小屋だったところを増改築したものだそうで、
設計するに至って「フェルメールの光の差込む窓を」という三谷龍二さんの要望に、窓の役割を改めで気づかされたと言います。
MITANI HOUSE の集約されたコンパクトさが気に入り、以前雑誌に載っていたものを、私の“住みたい家”のファイルに保存していますが、
今住んでいる我家の3DKでさえも、広すぎるのではと思えてしまうほどに、住み心地の良さと機能美を感じる、“27.3平米”のMITANI HOUSE です。
1992年に建てられた、PINE HOUSEでは、クライアントと好文さんとの往復書簡に、お二人の人柄が偲ばれて、
こちらまで温かさに包まれてしまいました。ここはぜひ読んでいただくしかないでしょう。
さてさて、イラスト付きの『私家版住宅用語辞典』は、好文流のコメントが添えられた、ユーモアとセンスに溢れた辞典です。
“キャンティレバー”とか“ガラリ戸”などの用語が何を指すのかは知ってはいましたが、こんなふうに住宅や建築用語を知ることが出来たら、
だれもが建築を目指したくなるのではないでしょうか。また、家を構成する部材のひとつひとつにも愛着が持てるというものです。
最後に、何度も何度も読み返して、しばらくは先へ進むことができなかった文を紹介します。
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