企画展での作品の中でも評判だったという、それぞれの紬をいただいて失礼するつもりが、帰り際に「ぜひ、お連れしたいお店があるの」とお誘いを受け、 「早めにお暇を」と言っていた私たちはどこへやら、ふたつ返事でお供しました。
小牧のお宅から20数分ほど走ったでしょうか、西春町の庁舎に隣接した一角の、木々に囲まれたカフェが、『あうら』でした。
木立の間から見える建物は、ギャラリーのようにも、中庭のある広いリビングを持った住宅のようにも見え、 壁の杉板の型枠を使った木目が、コンクリート打放しの固さを和らげています。
実は、この日は定休(木曜)でしたが、オーナーがFさんと私たちのために開けてくださったのでした。
(2006.1.1)
『あうら』という名前は、オーナーのお母さまの名前からとったのだそうで、のびやかなロゴは、気負いの無いオーナーのお人柄そのものです。
「いいところでしょう?ここへは一人でゆっくりお茶を飲みに来るの」とおっしゃるFさんのホームグラウンドは、きっと、いろんな方たちの心のオアシスなのでしょう。
友人も私も雪のことなど忘れ、すっかり寛いで“食べるお茶”八宝茶をいただきました。
八宝茶は、菊花、竜眼、クコの実、漢方などの葉や木の実が入った、彩りのきれいなお茶で、むくみや解毒等の薬効で知られる、美容健康茶だそうです。白い大きなカップに、たっぷり入っているのを、スプーンでいただきながら、景色もお茶も存分に楽しみました。
『あうら』のメニューは、珈琲、紅茶、中国茶などのお茶のみで、なんと持込みOK!なんだそうです。
ガラス張りの開放的なスペースの真中に、長くゆったり延びるカウンターと使い込まれたハンスウェグナーのYチェアが並び、コナラ、ソヨゴ、ハンノキ、オニソテツ、キチジョウソウ、ジューンベリーなどの、常緑樹と広葉樹が織成す美しいコントラストを、折りからの雪が引きたて、ここが住宅街だということを忘れさせてしまうカフェでした。
愛知まちなみ建築賞(2001年)を受賞の設計は、極めてシンプル。そのシンプルな空間と、粕谷護氏の造園設計による南北の庭・・・南北の庭は、「陰の庭」「陽の庭」ともいうのだそうです・・・と、フロアに置かれた御影石のテーブルのコラボレーションに、日本離れしたセンスを感じました。
存在感のある御影石のテーブルは、オーナーとの交流が深い、石彫刻家・国島征二さんの作品です。
驚いたことに、友人もその国島征二さんとは面識があり、お宅を訪問したこともあるといいますから、世間って狭いなぁと思いました。
ギャラリー(写真右)の大きなドローイングも国島征二さんの作品で、『あうら』では、国島さんのための個展を、年に一回開催されているそうです。
石彫刻家・国島征二展
Wrapped Memory 2006.3.1(水)~3.31(金)
北名古屋市西春町西之保清水田34
TEL:0568-24-4100