松本市白板1-2-11)TEL:0263-35-3895
今年もまた友人と、待望の松本クラフトフェアへ行ってきました。
そして、松本クラフトフェアの、もう一つの楽しみは、as it is つながりで、遅まきながら知った、中村好文さん設計の 『軽食堂・三谷』でした。
お店の場所は北松本駅の近く・・・という以外は、“行ってからのお楽しみ”ということで、リサーチはなし。予約した時間よりも早めに到着したので、小さな森の中の店に向うが如く、アプローチをゆっくり散歩しました。
美しく錆びた鉄板のゲートとアイビーの緑が、瑞浪芸術館 を思わせますが、『三谷』は9年前に建てられたそうで、実はこちらが先輩。
鉄板を使ったゲートに味をしめて、瑞浪芸術館でも採り入れたのだそうで、正面のくりぬいた部分は、そのまま道路側入口の看板として使われています。
「好文さんのファンなんです」と取材を申し入れましたら、満面の笑顔でご了承くださった、シェフでオーナーの三谷憲雄さんは、木工家の三谷龍二さんと同姓ですが、兄弟でも親戚でもなく、ご友人だそうで、建築家の中村好文さんは、前のお店の常連さんだったとのこと。女鳥羽川近くからここに移転して、9年になるそうです。
さぁ、前置はこのくらいにして、中に入りましょう。
これはピザ竈を兼ねた薪ストーブとのこと。これだけ大きければ、充分に暖かいのだと思いますが、座席の周辺の足元にはヒーターも設けられていました。
ほどよい距離に置かれたテーブル、ダウンライトだけの照明、景色を取り込んだ様々な窓、そして、中村好文さん設計の家具たちが、居心地の良い空間を創り出し、まるで避暑地の家にでもいるような寛ぎを感じました。
中村好文さんのモットーでもある、“庭を造らない造園”ゆえに、店内からの眺めは、住宅地の中だということを、すっかり忘れさせてくれます。
さて、ランチのご紹介です。
デザートも魅力的だったけど、クラフトフェアのために少し控えめにと、前菜、パスタ、パン、コーヒー(2,500円)のAランチを注文。
拘りのルヴァンのパンは、これで二人分。見た目よりも食べ応えがあって、美味しいパンでした。
○○豆(メモらなかったので忘れてしまいました)の冷スープは、あっさり味。前菜の野菜のマリネもたっぷり。とっても美味しくて、ベジタリアンの私には嬉しい一皿でした。
2種類から選べるパスタは、友人はトマトソース、私はアンチョビをオリーブオイルで絡めたもので、どれもシンプルで美味しかったこと!
今回は、中村好文さん設計ということもあって、好文さんならではのディティールにも紙面を割きました。
鉄板の格子が使われている入口のガラス戸と排煙窓は、as it is でもお馴染みのデザインで、ふっくりと温もりのある木の把手と、握りやすそうな彫刻が施された排煙窓のオペレーター用グリップが、好文さんらしい意匠だと思いました
設計の良し悪しは、窓の取り方で決る・・・エントランスの明り採りや店舗内の窓に、細やかな配慮がなされていましたが、化粧室やトイレにも、プライバシーを考慮しながら光を取り込む高窓に。仰ぎ見ると、清々しい緑がそよいでいました。
サニタリーの内装材は、何度でも塗装ができるルナファーザーが使われ、真白な色に清潔感が漂います。ドアに取り付けられた真鍮のレバーハンドルの高さが、通常よりも15cm ほど高めで、ちょうど肘を曲げた高さでした。これもコーブンさんのヒューマンスケールでしょうか。
松本方面への旅、もしくは来年のクラフトフェアにおいでの際は、ぜひとも訪れて、料理と建築を味わってください。