三重県関町の『而今禾』へ行った流れで、友人が『花と器・野むら』さんから教えてもらったという Gallery yamahon まで足を延ばしました。
関ICから壬生野ICまで30分、そこから15分ほどの所というのは、事前のチェックで調べておいたし、「こんな山奥にあるんだろうか?と心配した」という話も聞いていましたが、大きな看板がなかったら、うっかり通り過ぎてしまいそうなギャラリーでした。
しかし、降りたってみれば、なかなかの風貌です。朽ちた倉庫のような建物が造形的な美しさを醸し出して見えるのは、古びた外壁に絡んだ蔦の紅葉と、モダンな看板との景観が、そう思わせるのかもしれません
作品のアップでなければとの撮影許可をいただき、「晒柿」にしては珍しく、初めての訪問での紹介です。(2005.11.27)
着いたのが日暮れ間近かでしたので、まずは併設のCafe nokaでカフェタイム・・・どうも私たちは、“花より団子”です。(笑)
外観はなんてことない小屋のような建物でしたが、一歩入った店内は、ただものではない雰囲気を漂わせていました。
構造用ブロックをペイントしただけの壁と杉の床板、古材のテーブルと古い家具、坂田さんのテキスタイルに野田琺瑯
(最近はこの琺瑯容器と柳宗里さんの道具が、ギャラリー三神器のふたつになりつつ?)と、さりげなく置かれた古い道具や器、そして、建築やデザインの書籍。その中に、中村好文さんの本を何冊か見つけました。
実は、この本を見て、紹介せねばとの思いを強くしたのであります。
Cafe nokaは、今年5月にオープンしたそうで、借景を取り込んだ窓やシンプルな動線に、ふと中村好文さんの設計かもしれないと思い、若いスタッフに訊ねましたら、
オーナーが携ったとのこと。建築デザインをされていたようなお返事が返ってきました。
客は私たち二人っきりです。ストーブの音をBGMに、たっぷりのカフェオレと林檎のバターケーキをいただく。もちろん、美味しい!
隣のギャラリーは、二つの会場に分れて、会場Ⅱの「冬の色」展では、土鍋(土楽)や金工家・長谷川まみさんの銀製さじ、常設の三谷龍二さん、内田鋼一さんなど、そうそうたる作家さんの作品が並んでいました。
会場Ⅰの「自費出版の本」展では、手作りのような小さな本から、りっぱな装丁の本まであり、これだけの数が揃うのは珍しいそうで、見応え充分の企画展でした。
ギャラリーは開設して5年になるそうです。
県や伊賀地域のNPO、市町村が進めてきた「伊賀まちかど博物館」のひとつだそうで、伊賀焼きの山本忠正さんや土楽窯の福森雅武さんの土鍋など、地元の作家さんの作品も展示されていました。
最近、地方のギャラリーが話題になっていますが、ブームとしてでなく、地域に根ざした文化や情報発信の場としての役割を担うギャラリーの存在に、新しい時代の波が広がっていくのを感じました。
エントランスから正面を眺めたところで、ここからして、“余白の美”の研ぎ澄まされたデザイン性を感じさせ、内と外とのギャップがゆえに、印象を強くしているギャラリーでした。
陽が落ちた闇の中で、カフェの灯りが なんともあたたかく居心地の良いカフェに、今度はもっとゆっくり来ようと思いました
http://www.ict.ne.jp/~yamahon//MAP
『花と器・野むら』の野村亜矢さんから、企画展の案内をいただきました。
野村亜矢さん、榎原陽子さん、Gallery yamahon オーナーのご兄弟でもある山本忠正さんとの
「ほかほか御飯展」 です