併設のカフェは、大理石のカウンターと、小さなテーブルが一組、同じくテラスにも一組。
この日は、台風一過の午後ということもあって、次第にお客の出足が多く
カフェは、ほどなく満席になりました。
私も、さっそく濱納豆のケーキ 「ショコラ・ド・710」を注文しました。
白いお皿にソースをあしらって運ばれてきたケーキの、飴に濱納豆を閉じ込めて清涼感を出したという、ガラス細工のような美しさに見とれ、
サブレとスポンジ、ミルクチョコムースの3層からなる、濱納豆の塩味と甘味のバランスが、とってもおいしくて、新鮮な味でした。
日本料理、中国料理、イタリアン料理、フランス料理など、その世界の料理人さんの来店もあって、「いい素材を使っていますね」と、おっしゃるそうです。
さすが料理人たち。私たち素人との視点が違います。
ホテルオークラの時代に、良い食材にめぐり会い、今でもその食材を仕入れ、フレッシュフルーツを使って、色も素材の色でだしているとのこと。美味しさの一つは、拘りの食材にありました。
フランスで修行し、シェフもこなしてきた中島さんが、パティシェを選んだのは、
「ケーキは、小麦粉・卵・砂糖・バターなど、基本の4つに、生クリームやフルーツなどが入る。そこから生まれるケーキへの創造性が、限りなくあるから」だと。
ショーケースに並んだケーキは、どれもシンプルなのに、惹きつけられる美しさがあります。
そのことをお話すると、
「20年やっていますが、若かりし頃・・・いまでも若いつもりでいますが(笑)、若い頃は、なんでもやってみたかったのです。
なんでもやれると思ったし、コンテストにも出品しました。
そういう時代を経て、あるときから余分なものを削ぎ落としていくようになりました」
「例えると、仕立ての良い洋服屋さんのように、いい素材を使い、染めもよく、縫製も、ボタンホールの穴かがリも丁寧だからこそ、いいものができるし、羽織った時に、その良さが分る・・・ケーキも同じです」
「ケーキは作品。“これでいい”というのでなく、ひとつひとつ想いを込めて、品格のあるケーキをつくっていきたいのです」
お店に入った時、なにか違うと感じたのは、きっと、そうした拘りも一緒に味わうからなのでしょうね。
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