蔵からは右手に、茶房からは階段を下りると、手はつりの跡が残る大谷石の石垣が現れ、まるで洞窟のような隠れ家的コーナーがあります。 ここはオーナーのとっておきの場所。
酒樽の上に乗った八角形の大きなテーブルは、蔵人たちの食卓を兼ねた炬燵で、ガラスを入れて間接照明として使われている丸い穴は、 蔵人たちが七輪を入れて鍋料理を囲んだものだそうです。
瀬戸の蔵元で、銘酒「明眸」を生んだ柴田酒造が、3.4年前に創業200年の幕を閉じた時、そこで使われてきた建具や道具を譲られたものと、 静岡の蔵元からも、時代物の大谷石を貰い受け、大切に保存していたものが、そこかしこで生かされています。
そのひとつひとつに物語があり、たとえば正面の棚に、いい味の貫入が入った、ひときわ大きい白磁の茶碗が目に入りました。蔵元の行事で、100人ほどの茶席で使われたものとか。
瀬戸の蔵元に沢山あった壺の中で、5つだけ持って帰った内のひとつ(竹炭の入った写真右下の壺)に、なんとこの茶碗が入っていたのだそうです。 解体でゴミになっていたかもしれないと思うと、これはもう運命的な出会いです。
また、かつて蔵の名前のデザインを募集したのであろうか、瀬戸の蔵の名前のポスターが残っていて、作者を見ると、今や二科展で活躍するひとばかりで、いつかその個展も計画中とか。
発想が豊かで柔軟なオーナーのお話は、聞くものも一緒に夢の世界へ誘います。『蔵茶房』は第一章。さて、お次は・・・





炭が床下に敷かれているからか、湿った感じもなく、ちょっとしたパーティが出来る空間です。 この左手奥の冷蔵庫にも、物語がありました。そんなお話を、じっくり聞きたいと思いませんか。


オーナーは、企画上手。先だっても、日本のボジョレーとも言われる絞りたてのお酒をいただきながらの楽しい企画があったそうです。 これからの企画も楽しみで、一月は寄席。二月はバレンタインにちなんだもの。三月は・・・お楽しみに!



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