Both Sides Now

何気なく聴いていたラジオ番組の朗読の中で、ラジオから流れる低い歌声に、魂が揺さぶられるような感動を覚えました。
イギリスのジャズシンガー、クリオ・レーンで、私も知っているポピュラー曲でしたから、帰ってから探そうと記憶に留めました。
クリオ・レーンで検索してもジャズがほとんどでしたが、「これかな?」と注文したものは、入荷待ちとの連絡でした。
それから数ヶ月経って、在庫がないとのメールが入り、再度注文したのが、「ソリチュード」です。
ところが、届いたCDがジャズばかり。しかもデュオ・・・

あれから2年半余りが経ち、すっかり忘れていたのが、ふと昨夜、またクリオ・レーンのことを思い出したのです。
曲のタイトルさえ分ればと思うのに、どんな曲だったかもおぼろげで、しかも朗読した本の名前も著者も忘れてしまいました。
覚えているのは、女性通訳者で、娘さんがいて、苦労された人ということだけ。
キィーワードの、「女性通訳、著書」とか、「NHK、私の本棚、バックナンバー」、「NHK、私の本棚、クリオ・レーン」、そして「NHK、私の本棚、通訳」で、やっと検索に引っ掛かりました。
同じ番組を聴いて、書き留めてた人がいたおかげで、朗読の本が、篠田顕子著「愛の両がわ―ボウス・サイズ・ナウ」だと分り、 その本の最後の章で、クリオ・レーンの歌のことが記されているはずと、即注文しました。
欲しいのは・・・というか、知りたいのは、クリオが歌った曲の題名なのに、ずい分遠回りの探し物になってしまいました。

そして、ほぼ3週間余り待った、クレオ・レーンのアルバムが届きました。
さっそく、“Both Sides Now”をリフレインで流しながら、クレオの世界に浸りました。

ジョニ・ミッチェルの作品 “Both Sides Now”は、ジュディ・コリンズのカバーで大ヒットした曲で、 映画『青春の光と影』の主題歌にも使われました。
昔、耳にした“青春の光と影”は、のびやかで美しい曲・・・たとえ詩の内容が分らずとも、そんなふうに記憶していましたが、 クレオが歌う“Both Sides Now”は、心の奥深くを、ゆったりと包み込むような安らぎと、切なさの入り混じった感動を覚えました。
若かりし頃は、澄んだ美しい声と歌に惹かれたものですが、この歳になると、美しさを越え、人生をも織り込んだ歌唱に癒されます。

イギリス生まれのジャズ・シンガー、クレオ・レーンは、ミュージカルもオペラも、ジャズもポップスも、 なんと日本の歌曲までレパートリーに入れているそうです。
次は、『シェークスピア・ジャズ』もいいなぁと、クレオ・レーンの魅力に嵌りはじめた私です。



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