TALK-TALK タイトル

木村秋則さんの講演会  名古屋にて (2011.9.19)


~~経済の発展とともに、世の中が変わってしまい、人は自分の人生を他人に預けている。 他人を経由することで、パワーアップしている。
地震や津波の被害、ゲリラ豪雨に台風などの自然災害が、なぜこれほどまでに多くなり、 日本がねらわれているのか・・・それは地球が汚れているのだと思う。
世界の人に聞いた“地球から無くなって欲しくない国”の一番は日本だという。 その日本に住む日本人がしっかりしていかなければならないのだと思うのね。 背中の大きな荷物を、みんなで分け合いながら背負って、日本を変えていかなければと。
リンゴの木が教えてくれたこと・・・
それは、「21世紀は、地球修復の時代!」「ルネサンスの到来だ!」ということ。


「有機栽培」とは、認められた肥料・薬・堆肥を使ったもの。
「自然栽培」は、自然の生態系を利用する農法で、意匠登録(木村さんが作った言葉)を申請したら、あまりにも日常用語化しているからと、認証されなかった。
「自然栽培」を日本発にしたかったので、悲しくもあり、嬉しくもあった。

リンゴの木を育てるのは、土と草である。それを教えてくれたのもリンゴの木だった。
夏の暑いとき、人であれば歩いて涼しい所へいける。リンゴの木は歩けないが、雑草が夏の暑さによる土の温度を調整してくれる。
土の中にはバクテリアが多い。
もし宝くじが当たったら、あした仕事しますか? ちょっと休みたくなるでしょう。 畑に肥料を施すと、バクテリアも休んでしまう。

(2株の稲の根の画像を指して)どっちが自然栽培の稲だと思いますか?
肥料を施さない稲の根は、養分を得るため、たくさんの根を出す。根っこも頑張っている。
関心がなく手伝っていた自然栽培農家の息子が、そのことを知ってからというもの、毎日田んぼへ足を運ぶようになったと、 父親が喜んでいた。

土を活かす・・・土壌微生物を活性化させて、作物を活かす。
原種を学び適地適作する。根を活かす。葉を見て、見えない根を知る。
人は、成長しやすい環境をお手伝いしてるだけ。

無農薬のリンゴ園は虫がいない(昨年撮ったリンゴ園の写真)。必要のないもの(肥料・堆肥)を与えると、虫を呼ぶ。 その虫も、実は人にとって良くないもの(部分)を食べてくれている。

自分の病気を治療する「自己免疫力」を、一枚の葉っぱが教えてくれた。 (7/20の講演会記
口蹄疫の原因は渡り鳥ということだが、これまでも毎年飛来している。
牛の免疫力が低下したのではないかと思うし、効率を求めてきた人間に、何かを警告しているのではないかと思う。

リンゴ農園では、木陰にはミズソバが生え、人が歩いた固い所にオオバコが生えて、土をやわらかくしてくれている。 雑草はみんな、それぞれの持ち場がある。

これらは、リンゴの木が教えてくれたこと。
でも、自然って残酷だなぁと思った。ここまで追い詰めないと、答えを教えてくれないと。
でもあとで、答えは足元にあったと気付いた。いつも遠くばかり見ていたが、やっと足元を見つめるようになった。
自家用の果物の木は、ちゃんと実っていた。放任していたからね。


FAO(ファオ・国際連合食糧農業機関)が、石川県能登半島と新潟県の佐渡を認証。 肥料・農薬・逮捕を使わず、環境を保存していくというもので、国連が自然栽培システムを遺産保護。
自然栽培( Natural farming)・AKメソッド(Akinori Kimura)として、世界重要農業資産システム(GIAHS、ジアス)にも認証され、 いま日本が、大きく変わろうとしている。

各地で「木村塾」が開かれるようになった。日本中が気付きだした結果、北海道・帯広でも「木村塾」が開かれ、 大規模農業でも大丈夫ということが分かった。
愛知県は北海道に次ぐ農業県で、海岸の砂地、少し入ると黒い土になり、自然栽培に適している。
豊田市の 「みどりの里」で、無農薬では難しいとされる苺の栽培が、三年目に実った。 そして、岡山や香川では特産の桃が実る。
今まで 「できない」と言ってきたが、やらないで 「できない」と言うのでなく、どうしたらできるかを、みんなで考える時代がやってきた。
桃などがお店に並んだら、「がんばったね」と、生産者に声を掛けて欲しい。(完)