一昨年、『秋野不矩美術館』を訪ねました。丘の上に建つ砦のようなユニークな建物は、
建築家・藤森照信氏の設計で、日本画家・秋野不矩さんのために天竜市が造ったものです。
藁すさの入った漆喰壁と、マケドニアから取り寄せたという白い大理石の主展示室。
この部屋を初めて見たその晩から、一枚の絵を描いたという『オリッサの寺院』は、
93歳にして秋野さんの最も大きな絵(122*705cm)だそうで、その前に座って作品を眺めていると、
絵から伝わる感動と、ゆったり流れる時間が、心地良く感じたものです。
ある雑誌の取材で、「私は昔から、インドみたいな絵を描いていたんです」と語っていた
秋野さんのインドへの思いは、生命力に満ち溢れ見るものを惹きつけます。
まだまだお元気でご活躍をと思っていましたが、今秋10月11日に93歳で永眠されました。
いつものようにご家族と夕食を共にし、眠るように逝かれたのだそうです。
秋野不矩美術館では10月13日~11月18日まで、『三岸節子・秋野不矩展』を開催していて、
今日(10/27)再び行ってきました。インドの旅のビデオが流れ、矩美さんのとってもチャーミングな笑顔がこぼれていました。
その画面を見ながら、インドへと駆り立てるものが何かを知りたいと思いが、ふと湧いてきました。
いつか、いつか・・・
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