TALK-TALK タイトル

12 月 の 贈 り 物
(2001.12.22)

12月13日、渡辺貞夫さん50周年記念コンサート「My Dear Life」(名古屋芸術劇場)に、友人と行ってきました。

先行予約のおかげで、前から9列目のど真ん中! ラッキー!!! 

客席を見回すと、聴衆の年代がいつもより高いような・・・熟年世代のご夫婦が目に付いたのは、50周年だからなの

でしょうか。貞夫さんのファン層の厚さが、うかがい知れます。

開演のアナウンスの後、誘導灯など全ての照明が落とされ、静寂と漆黒の“間”(ずいぶん長く感じた)を取った演出

は、いつもとは違う50周年ならではのコンサートを予感させました。

緞帳がゆるりと上がり、雲間からいくつもの光が射し込むように、天上からのスポットライトがポジションを照らし出し、

その美しさに思わす息を飲み込む。やがて会場からの大きな拍手に迎えられてメンバーの登場。黒っぽいスーツの

ダンディな渡辺貞夫さん、アラン・パスクァ (p)、デイヴ・カーペンター (ac-b)、ピーター・アースキン (ds)のカルテットで

往年のファンには懐かしの4beatの曲を演奏。ニューヨークでの事件を追悼し、関東大震災後、神戸市が貞夫さんに

依頼したという鎮魂歌を、アラン・パスクァのピアノがしめやかに奏でます。

今回のコンサートで一段と目を惹いたのは、光が織り成す演出効果でした。曲にあわせたライティングに、音と光の

芸術を堪能。特に幕開けのライティングと『My Dear Life』、そしてグリーンからブルーへのグラデーションが印象に

残りました。

2部のステージは、50周年の“50”を模ったモニュメント(これまでのアルバムタイトルがコラージュされている!)が

バックスクリーンに下がり、ガラッと雰囲気を変えて、貞夫さん、アラン・パスクァ 、ピーター・アースキンに、エイブラ

ハム・ラボリエル (el-b)、ロベン・フォード (g)、スティーブ・ソーントン (per)を加えたメンバーで、「カリフォルニア・シャ

ワー」 「モーニング・アイランド」 「オレンジ・エキスプレス」 「ナイス・ショット」など、貞夫さんの音楽との出会いで

もあるメドレー曲に、身も心もウキウキ。旅の途中でアジアの女性と結婚したという、パーカッションのスティーブは、

貞夫さんとは数多く共演し、アドリブが乗ってくるときまってダンスパフォーマンスを披露。またエイブやピーターとの

掛け合いがなんとも楽しいのです。貞夫さんのサックスも冴えています。

質の高いJAZZをたっぷり聴かせてもらったライブの最後、アンコールはソプラニーノでの『My Dear Life』。20年ほど

前に初めて聴いたコンサート“オレンジエクスプレス”でのアンコール曲も『My Dear Life』でした。あの時も手が届き

そうに近くの席にいて、聴くというよりは偉大なアーティストを観たという感動が重なって、涙が頬をつたいました。

ファンそれぞれの『My Dear Life』があり、目頭を熱くして聴いたのは、きっと私だけではなかったでしょう。

素晴らしい感動をくれたアーティストたちは笑顔を残して大喝采の中を立ち去り、ステージは静かに幕を閉じました。

今、50周年記念アルバムの「My Dear Life」を聴きながら、海外JAZZアーティストからのメッセージを読んでいます。

たくさんの感動と夢をわたしたちに与えてくれた貞夫さんは、また、共演するアーティストにとっても大きな喜びや影

響力をもたらした偉大なアーティストでもあったのですね。今さらながら、それを再認識しました。

昨年のリチャード・ボナとの共演も良かったし、セザールとのセッションもぜひまた聴いてみたい。これからもますま

すお元気で、JAZZを聴かせてくれることを願いつ、“感動”の贈り物に至福の時を味わっています。