Chinese kitchen 海
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Interior Design:chic Planning
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Photo by sawaki & share-gaki
今回は、Chic Planning(シークプランニング)を主宰し、住空間の設計からコーディネートまで幅広い仕事をしている友人の澤木さんが手掛けた店舗の紹介です。
居酒屋だったところを中華料理の店にリフォームをということで、プランと見積りも決ったあと、工事が始まる約2ヶ月前に、エンドユーザーを通じて依頼があったそうで、 仕上げ材や設備、見積りの見直しから始めたとのこと。
“Chinese Kitchen 海”のオーナーさんは、「中華料理を堅苦しいものではなく、もっとカジュアルに食べていただきたい」という強い想いをもっていらっしゃいました。
なるほど、中華と言えばコース料理や高価なもの、もしくはラーメンや餃子と言ったものに対極され、カジュアルに楽しむという部分がないなぁと感じたのでした。
その話を聞いたあと、中国に留学経験のある友人と話をしたのですが、彼女も全く同じ事を言っていました。日本では中華料理をどうしてあそこまで高価な ものにしてしまうのだろう。中華料理はもっとカジュアルなものだと。
店舗に「中華」のイメージを出したくないと言うオーナーの想いを、ほんの少し、かたちにさせていただいたという気がしています。(澤木さんの言葉をそのまま引用させていただきました)
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オーナーの要望に応えるべくコーディネートプランは、さすがです。智恵と感性と技!とが生かされて見事にリニューアルされ、6月3日にオープンしました。
澤木さんから竣工写真を見せていただいて“ピピッ”ときた私は、友人のよしみで、オープン前の『Chinese Kitchen 海』を一緒に撮らせていただきました。 自然光と白熱灯のバランスがいい日中にと、午後から撮影をしましたが、『Chinese Kitchen 海』の良さは、陽が傾き始めた頃がなんとも素敵でした。(照明計画がいいのです)
こと、エントランス脇のガラスコーナーの外から眺める景色は、奥の灯りがとても効果的で、時間を追って何枚も撮りました。上の写真は澤木さんが撮ったもので、いちばん気に入っています。
他に4枚組の右上と次ページのワイヤー飾りがいいアングルなので、使わせていただきました。
看板の「海」というロゴは、絵心のある店舗のオーナーが油彩で描いたそうで、フレンチ感覚のおしゃれな店を連想させます。
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エントランスの左手、木目調のブラインドがアクセントにもなっているフロア側は、「落ちついて食事ができるように」と、駐車場との間に低い塀と小さな庭を設えて、大きなピクチャーウィンドウを生かしています。
予算が取れない分、ガーデニングデザインをし、オーナーと一緒に完成したという空間が、実にいいのです。植栽と建物は、一緒に計画されてこそ良さがでることを実証しています。
濡れると美しい文様がでるという「木目調のカラー砕石」(左下)はクローズアップレンズで撮りました。
エントランスの右手は、大きな円卓のある、“とっておきの空間”でしょうか。外からの景色も素晴らしかったコーナーで、モノクロのポスターが雰囲気づくりに一役買っています。
店舗のイスは中古品を購入し、オーナーご夫妻で張り地を張り替えたり、磨いて塗装されたのだそうです。
手作りはここにも(写真下)。化粧室の鞄置き台(真中の濃茶色の台)を、澤木さんが作ってリボスを塗ったそうで、洗面台と便器とのパーティションの代りにもなっています。
洗面台も素敵です。こういうところに予算を惜しまない仕事、いいですねー、やりますねー。化粧室はいい店舗のバロメーターですものね。
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店舗のインテリア計画は、仕上材だけでなく、ディスプレイ用のインテリアも大切な要素ですから、抑えた予算でここまでやれる力量に、コーディネーターとして見習うところ大いにありです。
また、お施主さんのみならず、施工側とのコミュニケーション、信頼とチームワークの良さが、撮影している間にも感じ取れ、彼女ならではの仕事振りに感心させられました。
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