訪れる者にとって、生活の場でもあるDKやサニタリーは、こと関心深いものですが、さすがです。 インテリアコーディネーターでもあるKさんとお仲間の智恵が、しっかりと生かされていました。
IHヒーターを組み込んだ間口2mのコンパクトキッチンは、敢えて設備メーカーを使わず、プレスしたステンレスの天板をフレームでもたせ、既製品の引出し収納を納めたもので、 下はゴミワゴン(この高さに、キッチンを合わせた)を収納できるようにオープンです。
間口が狭い分、奥行を70cm取り、オリジナルキッチンを得意とするご友人の提案で、シンクを縦長にすることで卓上食洗機置場と調理スペースを確保しています。
コンロ周りは、イタリア製の200角タイルを市松に貼り、寸法調整(明取り窓の上)には同色のモザイクタイルを使い、シンプルながらもセンスが偲ばれるコーディネートでした。

洗濯機置場の裏側を囲むように、岡崎製材で見つけた、50mm の胡桃板をL型にしたダイニングテーブルを造り付け、その上に吊戸棚を設けて収納を確保しています。 吊戸棚はお仲間の家具職人に依頼したもので、当初予算の関係で米杉を依頼したけれど、現場を見たあと、杉で造ってくれたのだそうです。
「きっと家に合うものをとのご好意なんでしょうね。そういった職人気質に支えられて、質の高い家が出来て感謝している」とおっしゃるKさんですが、実は家造りに参加する方も、満ち足りた思いで関っていっるのではないかと思いました。

サニタリーは、洗面とトイレをひとつの部屋にまとめ、既製品のキャビネットの上に洗面カウンターをのせたもの。 洗面の水返しに、キッチンで使ったタイルをボーダー使いして、見せています。ちょっと分りにくいかもしれませんが、鏡の周りにもモザイクタイルを貼っています。
杢模様が面白い栃(とち)のカウンター材は、五千円の奉仕品! 板の奥行にあわせて洗面ボウルを選んだそうです。


冷え症のKさんにとって、床暖房は外せない設備で、中国産の栗を床材に使って、暖房による狂いに対処しています。



コーディネーターや設計に携るものの自邸というのは、どこか実験的なアイデアを採り入れたりしますが、K邸も然り。 ただし、長年のキャリアに裏打されたプロの提案と生活者としての智恵。そして限られた予算がゆえの、適材適所?の木材と職人たちの技と心意気、 自分たちの出来ることで参加する家造り・・・本来の家造りを垣間見たようなK邸でした。



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