五年生になったといっても、トシはいるし、担任の先生が代わったくらいで、
また同じ様な生活が始まった。
 ぼくとトシは、今日は自転車で、二ブロック先までやって来た。
 松井のじいさんのことを、調べようというのさ。
 場所は母さんに聞いてあったけど、同じ様な家が並んでいて、全く見分けが
つかない。
「確かこの辺だと思うけど・・・」
 泥棒みたいに、ぼくが庭をのぞいたときだ。雪やなぎの花がゆれる裏庭で、
じいさんと鉢合わせをしてしまった。
「お、ぼうやたちは、いつかの」
「あ、はい。こんにちは」
 ぼくとトシは、テレ笑いをかえした。
「こんなところで会うとは、なにか? わしに用があったのかな?」
「いやちょっと・・・」
「ちょっと、なんだい?」
「はあ、ええと。トシ、おまえ言えよ」
「え! ぼくはなにも。ケン、おまえなにか聞きたかったんだろう?」
「ほー、どんなことかな、ん?」
 ぼくは思いきって質問した。
「ぼくは吉川憲一です。おじいさんは、どうしてそんなかっこうでゴミを拾って、
歩いているんですか?」
「ああ、そのことか。けんいち君と、そちらは?」
「あ、ぼくは室井俊哉です」
「としや君か。そうさなーこれは、あまり
見られたかっこうではないな。変なじい
さんだと思っていたんだろう?」
 ぼくたちは、顔を見合わせて肩をすくめた。

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