「ええ、約束するわ」
「よし。それが本当なら、急いだ急いだ!」
アメンボウのボーチャが、タートル親子を水上バイクで引っ張り、みんなは「あっ!」と
いう間に岸にたどり着きました。
「きっとまた遊びにいらっしゃい。気をつけてね」
 タートル親子と、ボーチャに見送られ、カーヤとミュウは先を急ぎました。
前を行くアーカンさんについて、どこをどう歩いたのか。カーヤとミュウは、ひょっこり
森の入り口に出ました。
 ここからくすり屋さんは、目と鼻の先にあります。
「アーカンさん、ありがとう」
 カーヤが振り向くと、アーカンさんの姿は無く 「キョロロロロロ・・・」
 と、遠ざかって行くアーカンさんの声が、森の中から聞こえてきました。
 家では、おじいちゃんが、ふたりを待ちに待っていました。
「カーヤ、ミュウ早かったね。ありがとう。疲れたろう?」
「うんん、ちっとも。おくすり、すぐおばあちゃんにあげて」
「おお、そうしよう」
 お父さんとお母さんが帰って来たとき、おばあちゃんはすっかり元気になっていて、
自慢のクッキーを焼いているところでした。
 カーヤたちのお使いのことは、おじいちゃんからお母さんたちに、報告されました。
 焼きあがったクッキーをいただきながら、お母さんはたずねます。
「それでおばあちゃん、お咳はもういいんですか?」
「それが、ふしぎなのよ。いつものおくすりを、シュッと吹きかけただけなのに、ほーら。
のども軽くなって。カーヤとミュウのおかげよ。」
でも、お母さんたちは知っていました。
 この森の、しっとりと澄んだ空気。その天然のおくすりのことを、ね。
 カーヤとミュウは、アーカンさんやタートル親子さん、ボーチャに、また会いに行こう
ねと、二人だけにわかる合図をし合いました。
 おばあちゃん自慢の、このおいしい焼きたてクッキーをおみやげに。

おわり


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