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この騒ぎを聞きつけ起きてきたミホホは、リキの上にやみくもに新聞
紙を振り下ろすママを見て、びっくりしました。
、 「ママやめて! リキが死んじゃう。 もう充分よママ!」
 必死に叫ぶミホホの声で、ママは、新聞刀を振りかざしたまま、我に
返りました。
 子どもたちにとって、それはそれは優しい良き母親であるママ。
その同じママが、鬼のような顔で今はみさかいもなくリキを打ちのめ
しているのでした。
「あら、まあ、私としたことが・・・」
新聞刀をはらりと落とし、ミホホを見るママは、いつもの優しいママ
の顔にもどっていました。
ママの新聞刀で、リキがダメージを受けたのは最初の一打だけ。
その後新聞刀は折れ曲がり、ミホホが現れたこともあって、リキはペ
シャンコになるのをまぬがれたのです。
すんでのところでミホホに助けられたリキは、よたよたと巣に帰り、
背中の傷が治るまで一歩も巣の中から出てきませんでした。
なかまのゴキたちが、
「ミホホ嬢ちゃまがとても心配している、具合はどうだい?」
と、様子を見に来ても、
「ありがとうと伝えて」
と、弱々しい声が返ってくるだけでした。

 日がたち、すっかり傷のいえたリキは、さっそくミホホに会うため巣
から出てきました。
 そこは、ミホホとタックンだけのひみつの場所、ママは絶対に近よら
ない縁の下のうす暗がりです。
 真夜中しか出歩けないゴキたちにとっても、そこは天敵イエグモのジ
ョジョにさえ気をつけていれば、昼でも自由に動きまわれる所でした。
「助けていただいたお礼に、何かミホホ嬢ちゃまのお役に立ちたいので
す。なんなりとお申し付けください」