P4 この騒ぎを聞きつけ起きてきたミホホは、リキの上にやみくもに新聞 紙を振り下ろすママを見て、びっくりしました。 、 「ママやめて! リキが死んじゃう。 もう充分よママ!」 必死に叫ぶミホホの声で、ママは、新聞刀を振りかざしたまま、我に 返りました。 子どもたちにとって、それはそれは優しい良き母親であるママ。 その同じママが、鬼のような顔で今はみさかいもなくリキを打ちのめ しているのでした。 「あら、まあ、私としたことが・・・」 新聞刀をはらりと落とし、ミホホを見るママは、いつもの優しいママ の顔にもどっていました。 ママの新聞刀で、リキがダメージを受けたのは最初の一打だけ。 その後新聞刀は折れ曲がり、ミホホが現れたこともあって、リキはペ シャンコになるのをまぬがれたのです。 すんでのところでミホホに助けられたリキは、よたよたと巣に帰り、 背中の傷が治るまで一歩も巣の中から出てきませんでした。 なかまのゴキたちが、 「ミホホ嬢ちゃまがとても心配している、具合はどうだい?」 と、様子を見に来ても、 「ありがとうと伝えて」 と、弱々しい声が返ってくるだけでした。 日がたち、すっかり傷のいえたリキは、さっそくミホホに会うため巣 から出てきました。 そこは、ミホホとタックンだけのひみつの場所、ママは絶対に近よら ない縁の下のうす暗がりです。 真夜中しか出歩けないゴキたちにとっても、そこは天敵イエグモのジ ョジョにさえ気をつけていれば、昼でも自由に動きまわれる所でした。 「助けていただいたお礼に、何かミホホ嬢ちゃまのお役に立ちたいので す。なんなりとお申し付けください」 |