第3回 山の植物
(2003.5.14)

講師:青木 正宏氏




第2回 春の里山を歩く
〜音羽長沢〜
(2003.4.26)


第1回 植物の不思議
(2003.4.16)


CONTENTS
日本の森林帯

明治の頃に横田博士が、沖縄から北海道まで日本中を歩いて調べて分布図を作ったとのこと。 人の手が入っていない森は、0.06%しかなく、日本では春日大社が一番残っていて、 あとは屋久島の一部と、古い仏閣の鎮守の森で、そういった所を手探りで調べて分布図を書いたんだそうです。

豊川には150ケ所のお寺とお宮があり、鎮守の森が残っている所は60くらいで、財賀寺は豊川の天然記念物になっている。 豊橋の方は次回探検する嵩山浅間(すせせんげん)神社に鎮守の森が残っているが、あまりないのではないか。
この辺り(三河)は照葉樹林帯で、常緑広葉樹が中心に生息しているが、 段戸山のように、海抜1000メートルくらいの山を登ると落葉帯に入っていく。
照葉樹とは、葉のクチクラ層が光を反射するため、葉がテカテカ光っているもので、 南は屋久島が、照葉樹林帯の境目で、大島から南は亜熱帯植物になり、 日本の北の方は、寒いために冬は葉を落す落葉樹林帯になる。
白馬山麓を見ると、下の方から白樺、岳樺(だけかんば)、這松(はいまつ)、その上は木が生えない。 稚内のように北へ行くと厳寒の為、木が育たない。


森の移り変り

何百年も自然のままほおっておかれた社寺林の姿を見ると、移り変りの方向が推測できる。スギ・ヒノキの造林地の下にマンリョウやヤブコウジなどの仲間が生えても、 そこはやがて(500年以上)照葉樹林えお中心とした林になるだろうと言われている。(これを極相林・クライマックスという)

1.はじめに木の切り倒された地にススキやチガヤの草原になり

2.その中にクロマツなどの木が入り込んでくる。それがどんどん大きくなると、ススキなどの草は光が弱くなって育たなくなり

3.その松の下でタブノキなどの幼い木が育つ。

4.クロマツの下でタブノキが育って大きくなると、やがてマツを追い越し、

5.タブノキのため光をさえぎられてマツはやがて亡んでいく。そして、その下には日陰でも比較的よく育つシイなどの幼木が勢いよく成長し

6.タブノキを覆いかぶして枯らし、シイの天下となり、シイの林として安定した森林をつくることになる。


照葉樹林帯の植物

シイ科・・・スダジイ・コジイ
カシ科・・・アラカシ・シラカシ・アカガシ・ウラジロガシ・ツクバネガシ
クスノキ科・・・クスノキ・タブノキ・ヤブニッケイ・シロダモ
ツバキ科・・・タブツバキ
モチ科・・・クロバネモチ・モチノキ

椎の実も大きいのと小さいのがあり、実の大きいスダジイはおもに海岸地帯に、小さい方のコジイ(ツブラジイともいう)は山地に生息している。


スダジイ・・・約2cmくらいでしたが、撮る角度で小さく見えます。


コジイ・・・約1cmくらいで、子どもの頃、神社で拾って食べたのはこっちのほうだったかな。


暖かさの指数・寒さの指数

積算温度の特性として、例えばトマトの苗を温床で仕立てる場合、温床の温度を高くしても低くしても、一定の積算温度に達すると、最初の花ができ、その時の茎の太さもほとんど一定になる。

暖かさの指数は、各月ごとの平均気温から5℃差引いた数字を合計したもので、照葉樹林帯は180〜85まで。 ただ、樹木は5℃以下だと成長を止めてしまうということが分り、平均気温から同じように5℃引いたものの合計が寒さの指数で、照葉樹林帯はマイナス10℃〜15℃が限界。

分布図 

今回は、ちょっぴり学術的なお話で難しいかなぁと思いきや
講師の青木正宏氏の穏かな熱意が伝わって、興味が持てました。
次回は、嵩山浅間(すせせんげん)神社へ樹木の探検です。しょっぱなから階段が200段!もあるといいますから
脱落しないように鍛えねばと、今から心しています。