「お洒落な大人の盆栽入門」
森前誠二著「銀座森前」店主
情報センター出版局
1,600円+税

日本の伝統文化のひとつでもある“盆栽”は、自分の暮しとはかけ離れた「高尚なもの」と敬遠していましたが、 苔玉盆栽や野草盆栽など、身近に楽しめるものもあるのだと気が付いたのは最近のこと。そんな時に出会ったこの一冊。 表紙カバーの凛とした美しい写真に、思わず手に取りました。
“「何も知らない人にこそ盆栽の魅力を広めたい」と「銀座森前」をオープン。 価格や技術ばかりに目を奪われる悪習を嫌い、古来より日本人が愛してきた盆栽の心を伝えるこのに情熱を傾ける”・・・ というプロフィールの言葉に感じるものがあって、さっそく購入しました。

“盆栽とは、その名が示すとおり、「盆=鉢」と、「栽=植物」が一体となって初めて「盆栽」となる”
なるほど、漠然と鉢や盆にのっているからと思っていましたが、そうではないのですね。
盆栽は古来中国からもたらされたもので、日本に入ってきたのはおよそ室町時代。 盆栽がたどってきた道を、「引算の美」「足し算の美」に例えています。 経済成長に邁進する中、園芸としての側面が受け継がれ、文化としてはおろそかになったとも。 そのあたりが、盆栽への敷居の高さになっていたのかもしれません。
盆栽の魅力に目覚めても、それを愉しめる人とそうでない人との差・・・“何より大事なのは、観る人の心”であり、 人が盆栽を育て、盆栽が人を育てる。 また、生と死、豊穣と枯渇、。人間の業、生命の営み、自然の森羅万象が凝縮されたものが盆栽。 心を亡くした人から本物は生れない。盆栽も人生も・・・。
とまぁ、哲学的であり、やはりが奥深いのですね。それだけに、とりつかれてしまうのかもしれません。

本書の後半では、住環境とライフスタイルに合った盆栽の選び方や、上手に育てる極意は「リズム」といったアドバイスから、 美しく飾る鍵は「間」、削ぎ落とす美である・・・など、インテリアに関るものとして、とても興味深く参考になりました。 さっそく部屋のしつらえを「引算」しながら、小さな苔玉盆栽を持って、うろうろしています。


四季を楽しむ「野の草の鉢植え」
松本尚子著  文化出版局
1,500円+税

植物を育てるのが下手なくせに関心だけは深く、こと山野草に興味を持ち、 庭がなくても鉢植えで楽しめればと、参考書のつもりで買った本です。
「自然の風情を鉢の中に」をモットーに野の草の鉢作りにいそしむという、著者の松本尚子さんの野草盆栽は、 どの鉢も欲しくなってしまう、楚々とした魅力に溢れています。
苔玉盆栽や寄植えの、やさしい解説付きなので、「私でも出来そう」と思いつつも、 好きな山野草がなかなか手に入りにくいこともあって、未だに実行していません。
今年こそはと、計画中ではありますが・・・


「 in door green style 」
月間商店建築4月号増刊
1,800円

この表紙の、緑あふれるダイニングのような空間は、カフェだそうです。近かったら、飛んで行きますのに。 削ぎ落とす美もいいけれど、ジャングルのように緑に包まれたインテリア空間も大好きなのは、 庭が無いのと、緑をサラダ代りに食べてしまう猫たちがいて、インドアグリーンすら叶わない反動かもしれません。
「和のインテリアスケープをつくりだす」というページの、山野草と無花果の寄植えに、今年のテーマが決りました。インドアグリーンではありませんが、 これを参考に、“スモールガーデンをテラスに”と考えています。

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